排尿障害の治療
排尿障害とは
排尿を開始してから、すぐに出ない、終了まで時間がかかるなど、スムーズな排尿に支障をきたすのが排尿困難です。
進行すると、尿閉といって、まったく尿が出なくなる場合もあり、水腎症や腎不全など深刻な合併症を引き起こすおそれがあります。
排尿障害の症状
- ・尿が出にくい…排尿困難
- ・尿がもれる…尿失禁
- ・尿が出る回数が多い…頻尿
- ・尿が出る時に痛い…排尿時痛
- ・排尿後に出きった感じがしなくすっきりしない…残尿感
排尿障害の原因
尿が出にくい、頻尿…
高齢男性の場合、前立腺肥大症や神経因性膀胱(膀胱を支配している神経に異常がある)が考えられます。
また、何らかの原因で尿道が狭くなっている状態(尿道狭窄)、膀胱や尿道に結石がある場合も考えられます。
排尿困難、頻尿…
高齢女性の場合、過去に子宮がんの手術などを受け、膀胱を支配する神経が損傷されたために起こる神経因性膀胱が原因になっていることが多く、その他には子宮筋腫による膀胱の出口の圧迫、尿道狭窄、膀胱結石が原因の場合があります。
前立腺肥大症
前立腺肥大症は、男性に特有の臓器である前立腺(男性の膀胱の近くにあって尿道を取り囲んでいる栗の実大の腺組織で、精子を元気にする前立腺液を分泌します)が肥大して尿道を圧迫したり、前立腺の筋肉が過剰に収縮して尿道が圧迫されたりするために、尿が出にくくなるなどの「排尿トラブル」を起こす疾患です。
前立腺が肥大する原因は、はっきりとは解明されていませんが、男性ホルモンの働きや生活習慣病、食生活などが関係すると言われており、一般的に加齢と共に前立腺肥大症は増加することが明らかになっています。80歳以上になると、8割以上の方が前立腺肥大症になると言われます。
主な症状としては、尿をする回数が多い(1日8回以上)、急に尿がしたくなって我慢するのが難しい、我慢できずに尿を漏らす、夜中何度もトイレに行く、尿が出にくい、などがあります。
治療としては、まずα遮断薬などによる薬物療法が行われ、それでも十分な効果が現れない場合は手術療法が検討されます。
神経因性膀胱
排尿をコントロールする大脳、脊髄、末梢神経が障害されることによって起こります。
原因となる病気やケガは、損傷を受ける神経の場所によって、次のように分類することができます。
- ・脳…脳梗塞、脳出血、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症など。
- ・脊髄…脊髄損傷、椎間板ヘルニアなど。
- ・末梢神経…糖尿病による神経障害、直腸がん・子宮がんなど骨盤内腫瘍手術の後遺症など。